翻刻
を入れは双方(さうはふ)共にやはらくべし唯(たゞ)かんにんせ
よ〳〵と云/計(はかり)にては遂(かゑつて)而腹をたて切(きつ)てのは
川てのとて噯(あつかひ)人まて打まはすかことし病(やまひ)を
見さためぬ薬か遂(かゑつて)而かはに成て余病(よびよう)がをこる
ぞとかく病(やまひ)をなをすには病の出ぬる本(もと)を見付
て薬(くすり)を用るが諸病(しよびよう)共に/肝要(かんよう)也と此所にてお
しゆる也/李仲梓(里ちうし)と云(いふ)人の文(ふみ)に人の煩(わつらひ)をするは
たとへは木を虫(むし)がくひてかれそふなると同し事也
其虫(そのむし)のくふ所をよくしりたる人は多く一所ほり
て虫をとれは其木かさりゆる也其虫の有所を
志らぬ人は爰に虫かありそふなと云(いふ)て不りて見
れともなし又かしこに/虫(むし)が有そふなと思ひてほり
てみれともなしあ気くのはてには爰(こゝ)かしこ木
の皮(かは)をむくゆえに木がかれぬるといへりへ下手(へた)
いしやの病(やまひ)を見付もせいてせんきかと思ひて
くすせともそれてもなし又ひへたるかと思ひて
くすせ共それてもきかすあの加減この加減(かげん)する
内に/病(やまひ)が重(おもり)て死(し)するに譬(たとへ)たり面白喩(おもしろきたとへ)なり
又さる人/落馬(らくば)をして煩(わつらふ)/竹斎尋(ちくさいたつぬ)るに/落(らく)
馬(ば)は幾度(いくたひ)ほとめされけるそと相尋(あひたつね)ぬれは五六
度(ど)もしたるといふ竹細(ちくさい)心得たりとてふすまぬの
こをとりきせてまゝ寝(ね)よ〳〵とてねさせける
彼病人(かのびようにん)いたさはいたしねら年ばかくのこときの
療治(りやうち)も御座候哉と尋(たつね)けれはされはの事むかしも