翻刻
て脇(わき)のそこ年の/考(かんがへ)なき人の心年を笑(わらふ)なり諸(もろ〳〵)の
れうしに心得ぬへき事なり勿論(もちろん)こゝはなをる
べけれ共かしこにいかゝかしこはよからんなれ共/爰(こゝ)には
いかゝ五蔵(ござう)六/府(ふ)一/身(志ん)を見わたして洛くになるやう
こそは療治(れうじ)なれ/大過(たいくは)をおさへ不及(ふきう)をたすけ平(たいら)か
なるを能(よき)所とするなれは洛く尓するこそほどよ
けれ俗人(ぞくにん)たちは先虫(まつむし)の/痛(いたみ)は止(やみ)たれとも又/病(やまひ)か出
たると計(はかり)御/覚(おほへ)有ゆへに/薬(くすり)の誤(あやまり)尓て別(べつ)の病の
出るぞとたしかに/病人方(びようにんかた)へしらする教(おしへ)なれ筑紫(つくし)に
ての事なりしに/腸満(ちやうまん)とて腹(はら)の大きに/張(はり)たる
煩(わつらひ)をしたりけり病人方(びようにんかた)のものとも医師(くすし)の方への
そむには殊外の腹の張(はり)なれは大/用(やう)を下して給は
れとのそみけりくすし心得(こゝろへ)たりとて何薬(な尓くすり)をか与(あた)へ
けん忽(たちまち)/腹(はら)下るほとに昼夜数(ちうやかす)もしらぬ不と下し
たれは腹(はら)はすか里とへりけりされとも腹(はら)の
とま年は又/病人方(びようにんかた)よりも腹(はら)の下りをとめてたへ
との望(のそみ)けるいしや心得たりとて何薬(なにくすり)をか与(あた)へけん
下る腹(はら)すきととまりてかよはさりけり又五日
も十日も通(つう)ぜねはそろ〳〵腹(はら)か張(はり)て前(まへ)のとをり
になりけれは又下してと望(のそ)む医者心得(いしやこゝろへ)たり
とて又下すはらを下をは腹(はら)かへれ共下りがと満
らす下りをとむれは腹(はら)がはる兎角(とかく)する間(あいた)に病(びよう)
人草臥(尓んくたびれ)て果(はて)にけり是(これ)を一門寄合(いちもんよりあひ)て申やう
扨(さて)も〳〵薬(くすり)はきいたり下してといへは下りとめてと