翻刻
いとせば愚痴(ぐち)にして知恵(ちへ)もなきものでなく
は狂人(きやうじん)ならんといへり又堂とへは俚俗のいたらぬ
いしやの経論(きやうろん)によくす薬方計(やくはうばかり)を損て病(やま)ひを
療(れう)するかことく或(あるひ)はなをらぬてもなし隅中の
まぐれあたりとて不慮(ふりよ)にはゆるも有(ある)かそれ
しやほとにとて病人(びようにん)の生死(いきしに)をあるか前(まへ)より
定(さたむる)ときは中々/内経難経(たいきやうなんきやう)/古(い尓しへ)能事を学(かく)したる
衆(しゆ)とは一口の事は申に/及(およ)はす同し日能/内(うち)にも
語(かた)られぬ程(ほど)の違有(ちがひある)とそ又一/至(し)の功(こう)とて歴々(れき〳〵)
にもまされるやうな/風与(ふと)したる療治(れうぢ)の自然(しぜん)に
有をみて難経(なんきやう)なとは六(むつ)ケ敷(しき)にならはぬもよいと
云ものありそれは誤(あやまり)にて有といはれたり然は
不学(ふかく)のものゝ薬(くすり)のきくといふはまぐれあたりといふ
もの也是々の/道理(たうり)にて此煩(このわつらひ)を此薬にて治(ぢ)し
たると慥(たしか)なる所はなき也此まぐれ当(あたり)といふにて
粗(不ゞ)/聞(きこ)へたり扨又/医学(いかく)を能(よく)して薬(くすり)のきかぬ
人はいかゞといへば爰(こゝ)に/李中梓(りちうし)と云人の書(かゝ)れし
事あり諸病(しよびよう)を治(ぢ)する法は医書(いしよ)の上に/少(すこし)も
秘書(ひしよ)もなく能(よく)なをせがしの様(やう)にかきのせたり
それを園通(ゑんつう)の用(よう)とて自由自在(じゆふじざい)に/用(もちひ)なす
所は何がなすそといへば妙我か心(しん)にありとて療(れう)
治(ぢ)の仕様(しやう)/書物(しよもつ)にあるを我(わ)がものにして用(もちゆる)所は
我(わ)か心の妙(めう)のはたらきにて我(われ)とする所といへり
然は/書物(しよもつ)にあるれうぢの仕様(しやう)を其通(そのとをり)にきく