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是(これ)をとれ
尾張名護屋(おはりなごや)にて宿(やと)をとりかんばんをこ
そいだしけれ天下一やぶくすし竹斎(ちくさい)と書(かい)
てそばに一/首(しゆ)能/歌(うた)をかく
扁鵲(へんじやく)やぎばにもまさる竹斎(ちくさい)を
しらぬ人こそあはれなりけれ
と書(かき)たりさても〳〵天下一とかくさへ上(うへ)もなき
自慢(じまん)なる事哉(ことかな)と思へばあまさへ扁鵲(へんじやく)や
ぎばにも満さるとは我朝(わりてう)にては天下一/唐土(もろこし)に
ては扁鵲天竺(へんじやてんじく)尓てはきば是等(これら)の人にまさ
るとはおびたゞしき/事(こと)かな/唐土天竺我朝(とうどてんじくわりてう)
にすぐれたる此竹斎(このちくさい)とは申多り〳〵驚入(おとろきいり)
たるなんどくはおろかなる事也/此(この)かんはんの様子(やうす)
を考(かんかふ)るに/能(よく)もかゝれたりとおもほゆるいかに
となればまつ/医者(いしや)をば司命(しめい)といふて人の
二川ともなき一/命(めい)を司(つかさ)どる大事の/役目(やくめ)なれは
いしやのならひみがくべきほどの事をつとめあきら
めもはや是(これ)にては医(い)の/道(みち)にくらき事(こと)もな
く誰(たれ)人にもをとるましきと手前(てまへ)をよく〳〵
つとめかためて罷出(まかりいで)/医師(いし)をは行(おこなふ)はずぞとお
しへいましめたるかんはんのかゝみなるべし扨(さて)
いづれのいしやも誰殿(たれとの)にもをとる/事(こと)にてはな
ひと心には人々/思(おも)ふべけれとも徒とむへき事(こと)を
つとめもせいではいかゞあらんぞさてつとむべき