翻刻
久かたのそらもとゞろに鳴神(なるかみ)の
夜半(よは)の恋路(こひち)は我とさくべし
雪や霜あらしや雨のしきる夜は
妻戸(つまど)も精(せい)もとぢてもらすな
浦山のわかちも見えぬ霧の夜に
恋路(こひぢ)にまよふ人ぞはかなし
偕老(かいらう)のちきりも冬は絶(たえ)ねたゝ
春のゑきれい【疫癘】のそくとぞ聞(きく)
ひたすらに五月(さつき)小春(こはる)はつゝしみて
かたくいむべしみとのまくばい【注】
夏至(げし)冬至(とうじ)四 季(き)のかはりめ日月(しつげつ)の
蝕(しよく)には房事(ばうじ)つゝしみてよし
【注 「みとのまぐは(ワ)い」の変化した語。男女が契りを結ぶこと。】