翻刻
【右丁】
海原(うなばら)の波(なみ)しづまれば行舟(ゆくふね)も
さはらできしに着(つく)さんのみち
和田(わだ)の原(はら)しほみちくればをのづから
ひかたの舟も出るものなり
谷川(たにかは)によとむいかだも雨ふれば
なかれて出るものにそ有ける
【左丁】
稲妻(いなつま)の影(かけ)より早(はや)きさんのみち
田(た)の面(も)のほさき見ゆるよそほひ
寒(かん)ずれは筧(かけひ)のうちも氷(こほり)とち
日たけてとくる世中の産
産月(さんづき)に腰腹つよくいたみても
さずみ【注】てうまぬ事もこそあれ
【注 さずむ=しずまる。】