翻刻
偖旧藩王居城退去の事は今回処分中の一難事
なるを慮り処分官は予め旧藩吏を徴し説諭す
る所あり彼れも亦書面を呈し只管依旧を哀願
すれとも渾て之を斥けたり廿九日旧藩王は旧
臣をして請はしめて曰期日を過たす居城退去
すへきに依り城門の閉鎖を解き出入の検査を
廃せられんことをと因て我か要する所の文書
を出さは城門を開くへしと諭し且随行員某等
を遣し旧三司官等に説かしめけれは即ち命に
応し其書類を出したるを以て即時城門の閉鎖
を撤し出入の検査を廃したり其夜旧藩王は夫
人《割書:正妃ハ曽|テ没セリ》及ひ女官等四十余名を携へ轎に駕
し後門より城を降り中城邸に転したり三十一
日松田書記官は随行員を率ゐ首里城に入り旧
藩吏の導を得て城中全部を検し尋て益満参謀
大尉に該城を引渡し了て分遣隊長波多野少佐
兵を率ゐて入て営す書記官又旧藩吏を召し諭
して曰土地人民引渡前旧藩王より旧管民に廃
藩置県の事を告け以来県令の命令に従ふへき
旨を布達すへし又旧藩王上京の期日は本月中