翻刻
にてたとへは小天地(しやうてんち)の如なり又
譬(たとへ) 晴天(せいてん)の日中(にちちう)に水(みづ) 空気(くうき)に
有(ある)といへども眼(め)に見(み)へずその道(どう)
具(ぐ)にては空(くう)水(すい)を取(と)るといへりたとへ
精液(じんすい)も目にみえず然(しか)れ共(とも)取(とる)道(みち)に
して取(とる)事(こと)とれり皆(みな)万物(ばんもつ)水(すい)火(くわ)の
為(ため)に生(せう)ずる者(もの)なり
○大家(たいけ)或(あるひ)は市中(しちう)の富家(ふつか)のものに
かならず子胤(こたね)なきも数多(あまた)あり又
適(たま〳〵)有と雖(いへども)早生(そうせ)若年(ぢやくねん)にして空(むな)
しく成(なる)者(もの)あり実(じつ)男子(なんし)有(あり)とい
へと他(た)へ出(いだ)し他の子を相続(そうぞく)に
致(いた)し不順(ふじゆん)なる事 常々(つね〳〵)の身持
不仕堕落(ふしだら)にて酒色(しゆしき)をすごし