翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション1

養生一家春 - 翻刻

養生一家春 - ページ 8

ページ: 8

翻刻

【右頁】 吸(ひ)き納(い)れて呼(は)く息(いき)を悠々(ゆう〳〵)といかにも長(なが)く口(くち)へ呼(は)き出(いだ)し 此(かく)の如(ごと)くする事(こと)三五十息(さんごじつそく)すべし数多(かすお)ふきほどよししかし 其時(そのとき)と所(ところ)により数(かず)にかゝはるべからず夜(よ)寝(いね)て又(また)必(かな)らず此(かく)の 如(ごと)くすべし唯(ただ)に朝(あさ)と夜(よる)とのみにかぎる事(こと)にあらす時々(じゝ) 刻々(こく〳〵)調息(ちやうそく)すべし纔(わづか)に二三息(にさんそく)しても佳(か)【左に「ヨシ」と傍記】也(なり)就(なかん)_レ 中(づく)酒(さけ)に酔(ゑ)ひ 食(しよく)に飽(あ)き或(あるひ)は思慮(しりよ)【左に「ヲモイ」と傍記】に心労(こゝろつか)れ又(また)は忿怒(ふんど)【左に「イカリ」と傍記】に気(き)滞(とゞこふ)る時(とき)は必(かな)らず 調息(ちやうそく)すべし必(かな)らずしも数(かず)にかゝはらす自然(しぜん)に胸中(けうちう)【左に「ムネノウチ」と傍記】/爽朗(ほがらか)に 臍下(さいか)充実(じうじつ)【左に「ミチミチ」と傍記】する事(こと)を知(し)るべし鵠林禅師(こくりんぜんじ)の常(つね)に臍輪(さいりん)【左に「ヘソ」と傍記】以下(いか) 腰脚(ようきやく)【左に「コシアシ」と傍記】足心(そくしん)【左に「アシノウラ」と傍記】まで気(き)を充(みた)しめよと教(おしへ)給ふ事(こと)実(まこと)に生(せい)を 養(やしな)ふ確実(かくじつ)【左に「キツトシタ」と傍記】の善教(ぜんけう)【左に「ヨキヲシエ」と傍記】なり此(かく)の如(こと)く養生(やうしやう)する人(ひと)は三十日(さんじうにち)又(また)は 【左頁】 五十日(ごじうにち)にして必(かな)らす胸中(けうちう)空洞(くうとう)【左に「ムナシク」と傍記】として物(もの)なく臍下(さいか)瓠然(こぜん)【左に「フツクリ」と傍記】と して気(き)の充実(じうじつ)する事(こと)を覚(おぼ)へ永(なが)く行(おこな)ふ時(とき)は飲食(いんしよく)の分布(ぶんふ) 滞(とゞこふ)る事(こと)なく經絡(けいらく)【左に「スヂミチ」と傍記】の運行(うんかう)【左に「メグリ」と傍記】/支(さゝ)ふる事(こと)なく心神(しんじん)安寧(やすらか)に 一点(いつてん)の 薬(くすり)を服(ふく)せず一炷(いつちう)の艾(もぐさ)を用(もち)ひずして長(なが)く病(やまひ)無(な)くして天年(てんねん)の 寿(じゆ)を保(たも)つ事/疑(うたが)ひをいれずして決(けつ)して薬(くすり)に泥(なず)み灸(きう)に癖(へき)【左にクセツキ」と傍記】し て生(せい)を養(やしな)ふの道(みち)を誤(あやま)る事(こと)なかるべし 夫(そ)れ生(せい)を養(やしな)ふの本(もと)は一元(いつけん)陽気(やうき)を養(やしな)ひ得(え)て相続(さうぞく)するの道(みち) なり病(やまひ)は来(きたつ)て元気(げんき)を害(そこな)ふの賊(ぞく)也/故(かるがゆへ)に病(やまひ)を治(ぢ)する事(こと)は微少(みしやう)【左に「スコシ」と傍記】の うちにおそれはやく療(りやう)ずべし緩(ゆるかせ)にする時(とき)は進(すゝ)む事はやく 凝(こ)る事(こと)革(すみやか)なり譬(たと)へば不善(ふせん)【左に「ワルキコト」と傍記】を行(おこな)ふ人(ひと)身(み)を亡(ほろ)ぼすが如(ごと)し 【参照 京都大学附属図書館富士川文庫所蔵本 請求記号ヨ/70 https://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100316911/viewer】