翻刻!江戸の医療と養生

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養生一家春 - 翻刻

養生一家春 - ページ 9

ページ: 9

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【右頁】 易曰(ゑきにいはく)霜(しも)を履(ふ)み堅氷(けんへう)至(いた)る【霜が降る時期が過ぎれば、堅い氷の張る季節が来る。物事が起こるには、まずその前兆があるというたとえ】と陰(いん)の始(はじめ)て凝(こる)の象(しやう)【左に「スガタ」と傍記】なり病(やまひ)をおそ るゝ事(こと)微少(ひしやう)のうちに消(け)し堅氷(けんへう)に至(いた)らしむる事(こと)なかれ生(せい)を 養(やしな)ふ事(こと)は確乎(かくこ)【左に「シツカリ」と傍記】として動(うこ)かず長(なが)く勤(つと)め行(おこな)ふべし生(せい)を養(やしな)ふ 道(みち)は譬(たと)へは善(せん)を行(おこな)ふ人/身(み)をつゝしみ徳(とく)を積(つ)むが如し陰陽(いんよう)の理(り) 善悪(ぜんあく)の義(ぎ)と生(せい)を養(やしな)ふの道(みち)病(やまひ)を治(ぢ)するの術理(じゆつり)二(ふた)つならざる 事(こと)を世(よ)の人々(ひと〳〵)と醫(い)を業(ぎやう)とする人々(ひと〳〵)深(ふか)く是(これ)を辨(わきま)へおそれつゝ しみて一箇(いつこ)小天地(しやうてんち)【左に「ヒトノコト」と傍記】の元陽(げんやう)一気(いちき)を害(そこな)ひ給ふ事(こと)なかれ然(しか)【左に「ソウヨ」と傍記】り 如(かくの)_レ是(ごとし)【左に「ソウシヤ」と傍記】と一縁(いちゑん)ひき出(いだ)しておもひつき給ふ人あらばそでひちて結(むす) びし水(みづ)の氷(こほ)れるを春(はる)たつけふの風(かぜ)や解(とく)らん陽気(やうき)自(おのつか)ら復(ふく)【左に「カヘル」と傍記】 するの義(ぎ)【左に「コトハリ」と傍記】を古哥(こか)の意(こゝろ)に取(と)りて確(かた)く生(せい)を養(やしな)ふ人は愛(めで) 【「そでひちて~」は、古今和歌集に収録される紀貫之の和歌】 【左頁】 たき天寿(てんじゆ)の域(かぎり)に躋(のぼ)らん事(こと)疑(うたが)ひなし今茲(ことし)文化(ぶんくわ)十二年(しうにねん) 乙亥(きのとのい)の新春(しんしゆん)生養(せいよう)の風(かぜ)に御(ぎよ)して博(ひろ)く四方(しはう)の君子(くんし)に生(せい)を養(やしな)ふ の術(じゆつ)をすゝむる事(こと)只管(ひたすら)世(よ)の人々(ひと〳〵)病(やまひ)なくして壮健(さうけん)なら ん事(こと)を庶幾(こひねがふ)のみと云(いふ)こと尓(しか)り   世(よ)に愛(めで)たき人(ひと)の有(ある)ものにて天稟(てんりん)幸(さいわ)ひに厚(あつ)く飽(あく)まで   食(しよく)し痛(いた)く飲(のみ)て生(せい)を養(やしな)はざれども偶々(たま〳〵)無病(むびやう)壮健(さうけん)なる人(ひと)   あり必(かな)らず天稟(てんりん)【左に「ムマレツキ」と傍記】をたのみ暫時(ざんじ)の勢(いきほ)ひに誇(ほこ)り災害(さいがい)【左に「ワザハイ」と傍記】を   招(まね)き給ふ事(こと)なかれ人々(ひと〳〵)もまた是(これ)を羨(うらや)み給ふ事(こと)なかれ跡(せき)が   富(とめ)る跡(せき)が壽(いのち)ながきは我(われ)におゐて求(もと)むる所(ところ)にあらず   毎年(まいとし)冬(ふゆ)十一月(じういちぐわつ)冬至(とうじ)より正月(しやうぐわつ)雨水(うすい)の節(せつ)まで毎朝(まいちやう)酒(さけ)を呑(の)む