翻刻!江戸の医療と養生

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養気説 4巻 - 翻刻

養気説 4巻 - ページ 141

ページ: 141

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【右丁】 か。清-正は仍(ナホ)厠の中にあり。清-正 痔(ヂ)を患(ウレフ)るゆゑに。厠を出 もやらず。隼-人を近づけて。さて卒(ニハカ)に呼(ヨビ)たるは。其方の家⁻ 来に。年-《振り仮名:二-十-許|ハタチバカリ》の下⁻郎。いつも茜(アカネ)の袖(ソデ)なしの《振り仮名:単羽-織|ヒトヘハヲリ》を着(キ) たる奴の名は。何といふやと尋(タヅネ)ければ。隼-人 答(コタヘ)て。出-来-助 と称(マウ)し。尾張の産(ウマレ)にて。心-利(キヽ)たるものにて。草⁻履(リ)-取をいゝきせ おきたりといふ。清-正。されば其 事(コト)よ。川-尻(ジリ)に芝(シハ)-居(ヰ)-能(ノウ)あり しを。看(ミ)に行たるとき。かの出-来-助が小⁻便(ベン)するを邈(ハルカ)に見 たりしに。肌(ハダ)には《振り仮名:鏈⁻条⁻衫|クサリカタビラ》を着(キ)て《振り仮名:脛-繳|スネアテ》をしたり。今太平に 【左丁】 なりて。人の用⁻意も疎(オロソカ)になりたるに。下⁻郎にはめづらしき ものなりと。今思 ̄ヒ-出したるが。人の寿⁻命は定(サダメ)なきものな れば。もし汝(ナンヂ)か我(ワレ)かの中一⁻人 死(シニ)たらば。彼(カレ)をそのまゝに おくことにならんとおもへば。忘(ワスレ)ぬうちにとて召(ヨビ)よせし なり。その旁(ハウ)⁻輩(バイ)の嫉(ソネミ)もあらんなれば。さしあたり高⁻知は 無⁻用なり。速(スミヤカ)にとりたてつかはすべし。汝(ナンヂ)も風-引たるやうな ればと。酒を喫(ノマ)せて帰(カヘ)しけり。隼-人 感(カン)⁻心して。その夜の中に 出-来-助を呼(ヨビ)-出し。委(イ)⁻細(サイ)をいひきかせて。禄(ロク)六⁻拾⁻石 与(アタヘ)て近(キン)⁻

現代語訳

【右丁】 清正はなお厠の中にいた。清正は痔を患っているために、厠を出ることもできない。隼人を近づけて言うには、「さて急に呼んだのは、そなたの家来に、年の頃二十ばかりの下郎で、いつも茜色の袖なしの単羽織を着た奴がいるが、その名は何というか」と尋ねたところ、隼人が答えて、「出来助と申します。尾張の生まれで、機転の利く者で、草履取りをさせております」と言う。清正は「それならばその件だ。川尻で芝居能があったのを見に行った時、かの出来助が小便をするのを遠くから見たところ、肌には鎖帷子を着て脛当てをしていた。今は太平の世になって、 【左丁】 人の用心も疎かになっているのに、下郎には珍しいことだと、今思い出したのだ。人の寿命は定まりないものであるから、もしそなたか私かのどちらか一人が死んだならば、彼をそのままにしておくことになると思うので、忘れないうちにと思って呼び寄せたのだ。その同輩の嫉みもあるだろうから、差し当たり高禄は無用である。速やかに取り立てて使うべきである。そなたも風邪を引いたようだから」と言って、酒を飲ませて帰らせた。隼人は感心して、その夜のうちに出来助を呼び出し、詳細を言い聞かせて、禄六十石を与えて近

英語訳

【Right page】 Kiyomasa was still in the privy. Because Kiyomasa suffered from hemorrhoids, he could not leave the privy. He called Hayato close and said, "Now, the reason I summoned you so suddenly is this: among your retainers, there is a servant about twenty years old who always wears a madder-colored sleeveless single haori. What is his name?" When he asked this, Hayato answered, "His name is Dekisuke. He is from Owari province, a quick-witted fellow, and I have him work as a sandal-bearer." Kiyomasa said, "Then that's the matter. When I went to see the Noh performance at Kawajiri, I saw that Dekisuke urinating from afar, and he was wearing chain mail under his clothing and shin guards. Now that we are in peaceful times, 【Left page】 people's vigilance has become lax, yet this is remarkable for a lowly servant. I just remembered this now. Since human lifespan is uncertain, if either you or I should die, he would be left as he is, so I called you here before I forget. There will likely be jealousy from his peers, so for now high stipends are unnecessary. He should be promoted and employed quickly. You also seem to have caught a cold," and he gave him sake to drink and sent him home. Hayato was impressed and that very night called out Dekisuke, explained the details to him, granted him a stipend of sixty koku, and made him a close