翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

華夷九年録 - 翻刻

華夷九年録 - ページ 10

ページ: 10

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「右帖」 火を一つ立つへしとて約を極る其内も 乗戻す船おふかりけり最早ふねを 戻さんと船中皆々騒ぎしかと仁兵衛 弥舟を留め神らぬ身の是飛なくも 若も風の直なるかと乗戻す船打止め て暫く時を移しけり日もはや西海を 溜み昏〳〵たる四方の気色いと物すご き其比迠当りに残りし大船は残の 「左帖」 村丸計也暮果て六つ半比西の方より 墨の如き雲起り光り物折々して風は 西とぞ也にけり北の方と覚しきに浪の うね〳〵火の光折々かすかに見へければ いざや舟を戻さんと手んでに用意し たりけり其内忽大風と成り雷電(ライテン)ひら めき震動して眼をつぶせるばかり也 帆を巻くとしても船の上立舞ふ