翻刻
「右帖」
くわ(ワ)小渕才浦恵蘓松前日本の
地に寄せさせ給へと勧念し船中
寄つて帆を巻しか風強ふして上も
せす纔々に手届くばかり也十方に
暮れし舟なれば命を捨て働しに
念のふ船は乗り受たる斯而十九夜
耽にて雷も鳴り止み雨の足常ふる
様になり既に夜はほの〳〵と明渡り風に
「左帖」
ちぎれし横雲や立ちとる日につれて
雨は次第に晴にけり風は弥吹きしめ
て浪のうねりぞ冷し横浪に梶ねらし
船又危く成りにけり残る材木捨にけり
毎日〳〵風強ふして同し風海まん〳〵と
して雲の浪煙の波は立ちしかど嶋と
覚しき当所もなく地方見へ紛ふ
雲もなく覚束なくも日と月に東と