翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

華夷九年録 - 翻刻

華夷九年録 - ページ 13

ページ: 13

翻刻

「右帖」 西と心得北は磁石を立てつめて今行 船は辰巳の方折れし梶を作りかへ 十日廿日は待へけりなれ共荒波強く て作りし梶も崩れけり詮方なくも 持合せし鑓も鉾も釘にして又々梶を 作りかへ十日余りは用ひけり斯而日数を 走りても行かふ船の見へさるはいか成る 世界の海なるかと覚束浪を枕として 「左帖」 船のふすまぞとけしなき扨又水にも とぼしく成り雨を待つ日ぞ久しけり 村々時雨の降(ふ)りければ水桶荷ひ すり鉢手に〳〵請て水を取り咽(のと)をう るをす計也又雨の日は工夫して櫓の 屋根に横木を打穴をえりほぎ水を もらし(し)水桶にため置て暫くは水に 安堵せり扨十一月にも成りければ