翻刻
「右帖」
肉もつきにけり湯水を通す情力も
手足も釘とやせおとろへ誠に鳥羽
絵の舟人/咽(のと)は糸の寄るべなく餓鬼
と云者は斯有らんと互に顔を見合
て飢で死するは無念やと喰はぬ歯
くぎを喰しばり呑まねと泪こぼれけり
既に極月廿八日也西南の方二十里と
見へ渡りて嶋有り是に皆力を得て
「左帖」
地方に上り死すべしと帆に帆を上けて
走りけり斯而地方壱里計りに成り
し比忽風は西と成り張告めたりし
気もたゆみ扶を上る者もなし能々
拙き我々か運流哉五十五日と云今日
始めて地方の言を見て手届く様に
近付ながら夫にも上らず吹戻され
舟の内にて朽なん事日本国の