翻刻
「右帖」
神仏も見捨て給ひし残念といとゞ
手足も叶はさり今宵は年の大晦日
当所も浪に漂ひて年をおしめる
者なし年立帰ると我々は古郷に帰る
おもいも無く我身を土となして魂飛
行のなるならばたゞ日本に(に)帰らんと皆々
扶をならべけり明ければ申の元旦にて
当所もなしに船の道行〳〵春を
「左帖」
迎けりあわれ地方と松前昆布土産
に積しを思ひだし是幸ひのよろ
昆布と皆々力得たりけり風に随ひ
行舟の向ふ遥に嶋と見へ巳午の方
の地方なる方角しらねど心嬉しく
急(きう)ける風烈くて暫時の内嶋の出崎
に舟を寄せ何国ならんと評定す是は
薩摩が琉球か又は大嶋恵蘇ならんと