翻刻
「右帖」
き者の手にやかゝり浅間鋪死を
せん事と思ふ心ぞ博なけれ爰社は
我々が身を捨る所ぞと衣類を着かへ
帯仕替へ最早なき身と極めても肌(はだ)に
守りの刀とも脇指指やら羽織着るやら
皆々浜辺に居並ひて唯亡然と計也
後に伝へて是を聞ば東南の座に
当る南天竺の内にしてホロネヲと云
「左帖」
国とかや何所ゟ人聞きけん程無く集る
其形ちは頭は羅ほつの赤ちゞみ中に
も異形の笠をかむり腰に皮をまど
ひけり弓たづさへ箭を手挟間には
鉄砲はなつもあり其外にも鑓長刀
鉾の如きを持つも有り其数三百余人
と見へにけり拾五六人我々に追付き物を
いへ共聞へねば浜辺に繋(つなぎ)し船に