翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

華夷九年録 - 翻刻

華夷九年録 - ページ 21

ページ: 21

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「右帖」 乗り衣類諸道具手ん〴〵に船は 取運ぶ日も已に入相に成りければ集り 来りし兵具の人皆散り〴〵に引にけり 磯打浪の音のみして更に此世と思は さりき年の始の初日影曇ぬ御代に 住みながらいか成れば我々は舟に渡 世す身ながらもかゝるつれなき国に 来て湯水に逢はず死するとは死 「左帖」 骸(から)迠も取敷とつきせぬは只泪なり 未た限りなき命なれば皆々石を ひろい扶として各々並び伏にけり 夜もはや四ツ半と思ひし比 松明(たいまつ)の火 夥しく又も命取りに来るかと思へば 網に懸りし魚の如く詮方もなく 伏居たり磯打浪の責鼓松吹風の 鯨波修羅の責苦ぞ恐敷程なく