翻刻
「右帖」
皆々夜前衣類は取られ尻切り袷
一ツにて少しも寒さは無身にて浜辺
に■はふかれけれ斯而五ツ頃にもなり
けるに又人来りて我々に何角と申事
有り少しも分からさりければ我々より
大ゆびを指出し頭あるやと申ければ合
点行しにや打うなづき又口にゆひを
指込み腹をさすりて喰はぬ故腹が
「左帖」
ひもしいと仕形して見せければ又合点
行しにやうなづき帰りける初め砂の
上に日本人と書て見せければ頭を振つて
知らざるとぞ聞へけり夫ゟ程なく小船
にのり五六人右之浜辺に来りつゝ我等
を小手招き乗れと心得皆々此小船に
ぞ乗りけり篭(かご)に入ッたる喰物あり是
をあたへ又大唐米をたきてぞあたへけり