翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

華夷九年録 - 翻刻

華夷九年録 - ページ 29

ページ: 29

翻刻

「右帖」 日数十日ばかり立ちける頃幸助才蔵 久次郎松蔵貞次も追々に相果けれ ば猶も浮世の便りなく夜の目も合ず 月も日も忘れ果たる計也既に死別れ 九人残る者には唯七人天地にも暁 敷いか成る所に行迚も一所にならんと 約束し常々番の者に日本に便りの 船あらば聞かせてたへと頼みける 「左帖」 斯而三月始の頃小船をしつらい水 主梶取拾人計乗り来りて我々不 残乗せ参らせんと呼出たす兼而頼し 事なれば若日本にや渡るかと心嬉し き追風なればカラガンの津を出帆し 三ッの帆を上げ南を指して走りける 十壱人の友朋をば沙衣婆と冥途 に残し置雲や霞と立ち隔跡を