翻刻
「右帖」
もしらす走りけり地方を乗る事
廿日計り 灘(ナダ)と覚敷広海は三日計ぞ
乗りにけり日和も続き船博行日本
の海上にて凡千里に余りける湊と
覚敷所に舟を入れソウロクと云所と
かや爰も又数十軒の城下也船頭が家
に我々七人を囲置ければ聞き馴ぬ
鳥の声目馴ぬ花だに身の成り果を
「左帖」
案じつゝ古郷をおもひ身を思ひ明け
安き夜を明かし兼て泪のかわく隙も
なし斯而五月も末の頃又人来りて
仕形し頭の所に行へしと人を撰
て分けにけり金兵衛市三貞五郎長太
弥吉の五人也残る孫七幸五郎我々
二人も一所に行兎も角も成るべしと
様々わびけれ共不聞入取すがるを打