翻刻
「右帖」
焼酒を呑ませつゝ食事も麁抹はな
かりけり此辺の焼酒は飯の様成る物
をたき瓶に入黒砂糖の水に是をひ
たし泡立てて脇上かる泡引て後釜に
入れ甑(こしき)を掛けて煎けり斯而其後暮
行年も久堅の天にも地にも只二人り
淋しき春を迎けり爰に又としの
餅迚餅米の如きに芋を入れ黒砂糖
「左帖」
にて尽く搗合せ平〆にして角に切り年の
始めを祝ひけり年々■はたへまなく
色々咲ける花あり春は格別咲乱れ
匂へる花も多かける孫七幸五郎
両人は幼少の時より天満宮を信心し
梅の守はホロネヲにてばい取られ力(ちから)
無く白く匂へる花を折り底の岩間
に生け置て仮りにも筑前大宰府