翻刻
「右帖」
聞へけり女は耳のたれに輪に又輪を入れて
長くたれ我朝にては瓔珞(ようらく)と共云へく也
身には薄物掛ながら肩(かた)から胸迠顕し
てちゞみし髪をつくねて生け花手折て
簪(かんざし)とせり扨此国の人親死したる時は
首を切って残し置他人の首を切り死
骸につぎ若又つがざれば大いにたゝりをな
すとかや男には男の首女には女の首をつぎ
「左帖」
財有る者は兼而ゟ買置て其用に立る
とかや又買人無き時は罪(ひ)人をもらい
或は他国に出て首を才覚するとかや
今迠所々の変国に流行して浮きかん
なんに身を苦しめ抔しければ迚我国の
御神力によつて元の如くに帰朝せばやと
おもひ込み心もふとく丈夫にして格別
眼に驚く事もなかりしにかゝる異躰