翻刻
「右帖」
定めなき身は浮雲のよそへつ□
爰に宝暦未年新に船を作かへ
御 裳(モスソ)川の流を汲て伊勢丸と号し
けり今度は乗初とて十右門を船頭にて
癸午の十月六日福岡の御米をはこび
つゝ豊前中津の湊に障りもなく帰る
朝の雲の海の西も同じ色曇ぬ御代ぞ
目出度けり数ならぬ舎の垣根の草も
「左帖」
若やかに色付け染ていつしかと霞に
木の目も打煙りておのづから人の心も
安らかなり斯而二月も中の六日に中津の
御米を積て江戸に廻はし四月の初六日
より奥州津軽の御米にて青盛ゟ積
出し又江戸に還ける暫く滞留して
筈【=筈緒のことヵ】の手入をする内に早年号も明和とや
未六月初より津軽の材木積んとて又