翻刻
「右帖」
津して甚繁栄の湊なり後ろに乱山
茂りて広く里々に続き前には大川有り
渡り三里あつて甚深かし川上は南天竺ゟ
流れ出て龍砂川の下にして水上は幾千
万里といふ共甚数しらす今現る所の町
家千五百余軒とかや人の形ち奇麗にし
て衣類目を覚す計り也孫七船方の
問屋に上り心の内に思ひけるは今迠三千
「左帖」
世界を経廻り浮きかんなんにも身を苦(くる)
しめ難儀も様々仕れ共又かゝる目出度
所は世の中に二つとは有間鋪と心の内も
たくましく何れ我等も売べしいか成る
所にか売んやと暫く案しけり大方人も
行付け我に来れとつれ行此所も大家と
見へしに入にける我も又跡の方に続て腰掛
居る我が月代もおとろに延ひ髭また