翻刻
「右帖」
らに追茂り黒き色にておとかひ細く
眼丸くむき出し家内上下珎敷や思ひ
けん皆(みな)暫く詠めけり口をゆかめ抔し
て見せければ常に勝手に出ぬ ■【嫡ヵ】婦(よめ)
笑ひかたむく瓔珞(よをらく)は観音様の如く也
斯而主と覚敷人に船の者何角と物
語して我をつれ下台所につれ行ければ
喰事をおたへけり未た籠馴れぬ鳥の
「左帖」
心地して朝な夕なを暮しけり家内
廿七人と見へ主人の名をタイコン官と云妻
をキントンと云歳十八才此春此家に娵入
しとかや老母あり弟ありカンヘン官と云へり
手代の番頭に【横線印】《割書:リウテキ|ヒヤウコウ》の二人にて家内萬を
司とる才判として呉服を商ふ大店なり
外に又下人十三人の内にてアレシモ《割書:ウセリ|カウセン》の三人
は是は遠国黒坊にて朝夕の喰事も