翻刻
「右帖」
彫って香花を備へ家内には仏檀を
餝りて魚肉を備て妻子は後に是を
喰す勿論妻は百日白き絹をかづきて
仏前に座し生前の有様を語りなげ
きて悲しむを夫々の礼とす金箔を
余分に焼を上として未来の為といへり
子としては百日墓に詣(もうで)て(て)香花を
備へ三年内は能々物 云(ごと)に慎(つつしみ)て色々の
「左帖」
衣装を着ず音曲(をんぎよく)のせきに至らさる
を礼とすといへり主人は父無くて母有
常に仏檀に異具を備へ日々三度
仏前に向い喰事の案内を告げさ
ながら生きたる人に仕るに似たり生死共に
親に孝行成る事は言語に尽し難し
外の家も是に同し事也此国も暖にに
して常に五六月の気行成り単物にて