翻刻
「右帖」
年頭の礼にぞ出にけり其時我も主人の
御 供(とも)せり外ゟはサラマツタと云又内ゟ答(とう)て
曰(いは)くホクロヲラとぞ申けり名札を門口に
張附て置くも多し又兄弟か一族は
戸をあけて内に入り右の云葉をのへて
酒肴にて祝ひけり元朝は餅をひろむ
白餅黒餅あり餅米を粉にはたき砂
糖の水にて是をこねたる餅も有り又平〆
「左帖」
に切る餅も有り白餅は白砂糖黒餅は
黒砂糖にて拵へけり年始初入と覚しき
事其外様々一家の交り等日本の町家に
かわる事なし三月三日は節句の儀式は
なけれ共菱餅はあり五月五日は餅米を
甑(こしき)に懸(か)け笹の葉に包み砂糖の水にて色
を附けるも有りける扨又町内商人売
様は日本のごとく決而声たてず焼(しよう)