翻刻
「右帖」
恐れず又是を殺さず殺せば必(かならず)たゝりを
なすといへり此所の人是をホアヤと云春の
頃岡に上り子をそだてるに手丸の如く
にして其数三拾六に極る玉子開ひて後
二尋計りに成りて川に入り親是を追
まわる事すさまじく当にうろ〳〵して
居る子は其侭喰ひ殺ろし漸に逃延
し越(を)壱ツ残して是を子となして
「左帖」
大切に養育仕る事類なし此所の気行
暖なれば昼夜下々は川につかりて水を
つかひて暑を凌けり川の内に大ひ成る
格子を拵へかごの如くになして其内に
入つて暑を凌ぐ用心也或時夜廻りの番
人暑を凌とて格子の内にて水をあび
ける時柱の朽たるを押破り件のホアヤ
格子の内に入る水ゟ上らんとせしを延上りて