翻刻
「右帖」
よ(よ)ろめきたをれける所を黒坊ゟ二十人
乗移りマダロスか大勢を悉く斬り殺(ころ)し
川内にぞ内込ける時に矢倉のうへに
梶取壱人寝入けるが此騒動(そをどう)に驚手鉾
追取り矢倉ゟとんで下(を)り無二無三に
打てかゝり此者強力の者にて大勢を
事共せず東西に打破り南北に切
靡け戦ひければ忽手をい拾六人也
「左帖」
なれ共黒坊の船ゟ又拾人計り乗移り
漸に生捕ける既に殺さんとせし所を
黒坊の頭分是を制して助(たすけ)けさせマダロス
が船の者悉く取りから船になし残り
し壱人を右の船にのせ此川を押し
下しけると也此マダロスは何国に行きて商(あきない)を
仕る船なるや是を知る者なし斯而其
後翌年の春二月頃例年爰の