翻刻
「右帖」
津に商売に来る福州の船此川に
汐時を待けるに黒坊の悪人共是を
見て去年もマダロスを誑(たぶらかし)し又此船も
騒動(そうどを)させ金銀をむばい取らんと工み
小船に乗り拾艘余り行て福州の大
船を追取り巻き鉄砲数多く打掛け
けり福州船は百人余りも乗居たり
なれ共此国の法式迚商ひ舟は鉄砲
「左帖」
所持する事堅く制せられければ詮方
なくて船板を夥く取出し是を前に
立て鉄砲をふせぎけり福州船に乗り
移らんと仕るを福州ゟ鉾水竿にて打
払ひ焼物の皿鉢を打ち砕き大勢にて投(なげ)
打ければ急々船へ乗る事不【左に二】能【左にレ】福州舟を
白眼(にらみ)つめて居たる所を福州船は大勢
なれば大釜に鉛(なまり)を入れ焼(たき)立て忽ち湯に