翻刻
「右帖」
なれ共国元には二親有り我れ壱人の
子にして明暮かなしまん事を思ふ今
壱度父母にあひかゝる目出度国に
流れ着き候由を語り長崎と申所より
毎年船の便り候得ば又来りて御奉
公仕度由を語りけれは主人打笑ひて
申けるは汝は近国とばし思ふや
是ゟ日本数千里の国也帰りて二度
「左帖」
来るべからず我れ汝を金銭三拾文に
買たり《割書:壱文に銀|拾匁也》一生を免べからず乍_レ去【注】
父母をしたいかなしむ由道理なれば
能き便りもあらば本国へ送りかへし
得さすへしと有りけれは夢の覚めたる
心地してこそ難_レ有【注】仕合と東の方を
神拝し嬉泪ぞこぼれけり夫ゟ今日
や船便り明日は船の来るかと夜の目も
【注 レ点の上の字の左横の「二」点は意味不明】