翻刻
「右帖」
合はず待居たり斯而日数の立けれは
南京の船便り有る由主人ゟ頼みければ
南京の人申けるは御頼被成候人は文
字に通りしやと云文字知らざる由
申けり南京の人申には左様に候得は
今の長髪にては船にのせ被申ずと
坊主にならばと申けり我れ思ひけるは
迚も我国に帰らんに髪おろすも
「左帖」
残多や又此侭に乗行舟も多かる
べしと南京の船便は止(や)めけり所になれ
し友朋にも頼みけれは阿蘭陀の船
便り有と聞出し主人江斯と告けれは
主人の曰く阿蘭陀は頼み少き者なれ
共是悲とあらば頼んと主人ゟ念頃に
頼まれければ阿蘭陀も心能く受合
ければ時成るかな時来りて阿蘭陀が