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【右頁】
いへども後(のち)に禁忌(きんき)を守(まもら)ざれば再発(さいほつ)して救(すく)ふ
べからず恐(おそる)べく慎(つゝしむ)べし僻邑(かたいなか)山家(やまが)など急(きう)に
良医(よきいし)の来らさる時(とき)の為(ため)に理法始末(ぢほふしまつ)の心(こゝろ)
会(えへ)を識(しる)せるなり
瘈狗(やまひいぬ)に囓傷(かみやぶられ)たる人(ひと)大(おほい)に憎寒(さむけ)をなし大熱(だいねつ)
を発(はつ)し或(あるい)は傷寒(せうかん)のことく口(くち)噤(つぐみ)牙(きば)を咬(かみ)角弓(ゆみのことく)
反張(そりかへり)口(くち)涎(よだれ)沫(あは)を吐(ながし)汗(あせ)出(いで)睾丸(きんたま)縮(ちゞみ)大小 便(べん)不通(つうぜず)
舌(した)巻(まき)食(しょく)下(くだ)らず或(あるい)は狂犬(やまひいぬ)の吠(ほゆる)が如(こと)く声(こえ)を発(はつし)
【左頁】
死(し)するものなり故(ゆへ)に理療(ぢりやう)を忽(ゆるかせ)にすべからす
《割書:狂犬(やまひいぬ)の形状(かたち)は尾(を)を垂下(たれさげ)眼(め)赤(あかく)舌(した)黒(くろく)涎(よだれ)を流(なかし)し舌(した)|を出(いたし)喘(あへき)おほくは頭(かしら)をかたむけ走(はし)るは狂犬(やまひいぬ)也》
《割書:塗中(とちう)【途中ヵ】にて此(これ)に遇(あは)ば速(すみやか)に避(さく)べし若(もし)避難(さけかた)き時(とき)は|急(きう)に棒(ぼう)を操(とり)て犬(いぬ)の前脚(まへあし)を横(よこ)に払(はらひ)撃(うつ)べし犬(いぬ)倒(たを)》
《割書:るゝ間(ま)に逃(にげ)去(さる)べし或は犬(いぬ)の両眼(りやうがん)の間(あいだ)を見(み)す|まして力(ちから)を極(きはめ)て打(うつ)べし犬(いぬ)立(たちところ)に死(し)す此(これ)を知(しら)ず》
《割書:漫(めつた)に打(うて)ば却(かへつ)て犬(いぬ)手元(てもと)に迴(まは)り咬(かま)るゝなり○凡|常犬(つねのいぬ)も亦 夏月(かげつ)炎天(ゑんてん)の節(せつ)は口 開(ひらき)て喘(あへぐ)ものなれ》
《割書:とも舌(した)の色 黒(くろ)からず且 眼中(かんちう)も赤からず是を|異(こく)なりとす》
〖諸獣(もろ〳〵のけもの)諸虫(もろ〳〵のむし)に咬傷(かみやぶら)れ痛(いたみ)極(つよく)〗勢(いきをい)危(あやうき)ものは皆(みな)艾(もぐさ)を
以て咬傷(かみやぶり)たる処(ところ)に灸(きう)すべし毒気(どくき)を抜(ぬき)散(ちら)
【〖 〗は隅付き四角囲み線】