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【右頁】
火(ひ)を多(おゝ)く焚(たき)て煖(あたゝめ)薫(ふすへ)るをよしとす
○又方一人 徤(すこやか)なる者(もの)を選(ゑらひ)び溺人(おぼれしひと)を仰(あを)にして
倒(さかしま)に背(せ)に屓(おほひ)両(りやう)の足(あし)を肩(かた)にかけ十五六 間(けん)も走(はしれ)ば
水(みづ)自然(おのづ)と口中(かうちう)より出(いづ)るなり《割書:下に図|あり》
水(みづ)を吐尽(はきつく)して老薑(ふるねせうが)を擦(すり)て牙歯(きばは)に塗(ぬ)り白礬(みやうばん)を
末(こ)にして管(くだ)を以て鼻孔中(はなのあなのうち)へ吹入(ふきいる)べきなり
白礬(みやうばん)なきときは醋(す)を多(おほ)く鼻孔(はなのあな)に灌(そゝぎ)入(いれ)てよし
甦(よみかへり)て後(のち)臍中(ほそのうち)に二三百 壮(そう)【左ルビ:てう】灸(きう)すべし
【左頁】
凡 水死(みつにしする)の人(ひと)烈(つよき)火(ひに)烘(あふる)を忌(ゐむ)寒気(かんき)内(うち)に入(いり)て死(し)す
救(すくふ)べからず
○能泅者(よくをよく)【左ルビ:すいれんのたつしや】と言(いふ)とも水(みづ)の中(うち)にて転筋(こむらがへり)する時(とき)
は多分(たぶん)死(し)するものなり早(はや)く自身(じしん)にて手(て)を以
て足(あし)の大趾(おほゆび)を力(ちから)を極(きはめ)て痛(いたき)程(ほど)に屈(かゞ)むべし
緒筋(もろ〳〵のすじ)舒(のび)て死(し)に至らず
以上の諸方(しよほふ)を用(もち)ひ水(みづ)を吐(はき)たる後(のち)は凍死(こゝへしに)の所(ところ)
を見合(みあはせ)て治法(ぢほふ)を施(ほどこ)すべし