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【右頁】
〖乾霍乱(かんくはくらん)病状(びやうぜう)〗忽然(たちまち)心下(むなさき)痞(つかへ)鞕(かたく)腹肚(はら)満(はり)𤶀(しぼるやうに)痛(いたみ)堪(たえ)がたく
漸々(ぜん〳〵)に煩躁(もがき)擾乱(さはぎ)吐(はか)んとして吐ず瀉(くだ)さんとして
瀉さず手足(てあし)逆冷(ひへあがり)冷汗(ひえあせ)出(いで)胸膈(むね)かたく起(をこ)りふさが
り頃刻(しばらくのうち)に命(いのち)危(あやうき)證(せう)なり
凡(おほよそ)霍乱(くはくらん)は腹中(ふくちう)に宿食(しゆくしよく)留飲(りういん)等(とう)の邪物(ぢやぶつ)あるゆへ
なれば吐(はき)瀉(くだし)すべき筈(はづ)なるを乾霍乱(かんくわくらん)は吐瀉せ
ざるに因(より)て擾乱(もだへさはくこと)益(ます〳〵)劇(はけしき)なり吐(はく)か瀉(くたる)かせざれば
遂(つい)に死(し)に到(いた)る扨(さ)て此(この)證(せう)は吐瀉(としや)せしむる薬(くすり)を
【左頁】
用ゆべき事なれども其 邪物(じやぶつ)の所在(ありどころ)を知らざ
れば理法(ぢほふ)を誤(あやまり)【左ルビ:しそこない】て害(がい)少(すくな)からず故に其(その)大意(たいゐ)を載(のせ)
たり此 證(せう)中脘(ちうくはん)に邪物(ぢやぶつ)閉(とぢ)塞(ふさぎ)てある故に吐瀉(としや)な
し其 邪物(じやぶつ)上 脘(くはん)のかたに多く聚(あつまり)たるあり又下
脘(くはん)に多(おほ)く聚(あつまり)たるあり是を看(みる)る法は先(まづ)手(て)を
以て病人(びやうにん)の腹(はら)を摸(なで)索(さぐり)按(を)すに中脘(ちうくはん)より上(かみ)
のかた格別(かくべつ)に緊(きびしく)満(はり)あるか又は堅(かた)き聚塊(かたまり)あり
て按(おす)ときは痛(いたみ)甚しく手を近(ちか)よせざるは邪物(ぢやぶつ)