翻刻
【右丁】
漬初めなる程おし強く置廿日程迄はおしを常の如く
ほとにし七十日程過てよくなれる翌年夏秋の
時分も詰内風味よく骨も一段と和かになる
是もおしをゆるめる時分に塩水を蓋の上に溜置
魚を取出し何と魚めいかたよくふる様に
直に置おしを掛け右塩水溜置かよし
鯛の鮨
一塩弐升に水壱升合三升を弐升にせんしへらし能く
さまし鯛を三枚におろし右の塩水の中へ入押を掛
三日め程かし米壱升飯にたき扨糀壱升を合し
卸身すれ合ぬ様に積込へし
当座鮨
【左丁】
一魚に塩をしもふりにむしなま様によく交せ少しの間置
夫より酒と酢とを能程に交せ右の魚を漬置て
白米弐升喰かけんの塩水にて飯にたき能くさまし
右の魚を布にて能水気を取常の如くに漬込む
尤めしに手水一向遣不申様にすへし
鱠の類 鱠仕立やう
一酢斗りにてはきつき也冬は煎酒を加へ塩梅をす
夏は生酒にて塩梅すべし尤酢へ塩入てよし
三盃漬
一醤油壱盃酒壱盃酢壱盃右の三色合魚のるい
大根白うり其外何にても好み次第漬込なり