翻刻
[五十七]賽蜆(しゞみもどき) 豆腐を全(まる)ながら水気(みづけ)なしに文武火(つよからぬひ)にて烹(に)る水
いづるを金匕(かねさじ)にてすくひさり又みづ出(いづ)ればすくひ幾次(いくたび)も
して烹(に)かたまりぽろ〳〵とみしゞみの如(ごと)くになるを油にて
さつと煠(あ)げてしゞみの調味(てうみ)の如く稀醤油(うすしょうゆ)にて烹(に)て青
山椒(さんしやう)をおく也
[五十八]玲瓏(こほり)とうふ 干凝菜(かんてん)を煮(に)ぬき其/湯(ゆ)にて豆腐を烹(たき)
しめさましつかふ調味(てうみ)このみ随(しだ)ひ
[五十九]浄饌(しやうじん)の海膽(うに)でんがく 麹(かうじ) 豆林酒(みりんしゅ) 醤油三品/等分(とうぶん)に
合せ紅椒(とうがらし)の細末(こ)加(くわ)へ貯(たくは)へをきなれたるときよくするな
り是(これ)を用い[四十三]うに田楽の製(しよう)の如くす
[六十]繭(まゆ)でんがく つきたての餈(もち)を花(はな)びらの如くいかにも薄(うす)く
のばして少し炙(あぶり)田楽の秦椒(さんしやう)味曾(みそ)のつけやきにした
るを右の餈(もち)にてくるりとつゝむなり
[六十一]蓑(みの)でんがく 辣料(からし)みあはせに味曾(みそ)へすりませ常(つね)の田楽
の如くして花かつほのよくきれいにそろひたるを味曾の上へ