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コレクション: 暫定コレクション

女重寳記 - 翻刻

女重寳記 - ページ 80

ページ: 80

翻刻

   ㊈万(よろつ)しみ物(もの)おとしやうの事 一 油(あぶら)の小袖(こそて)に付(つき)たるには水(みづ)一 升(しやう)に塩(しほ)一 合(がう)入(いれ)よくわかし少(ちと)さ  ましすゝくべし又ぬいはくのたくひ何(なに)にても水(みつ)に入(いる)  る事(こと)なりかたき物(もの)ならばそのうへ▢くはつ石(せき)の粉(こ)をふりか  け紙(み)をしき火(ひ)のしにていくたびもなつれは油(▢)をつる也  たゞしもめんはおちす又 畳(たゝみ)に油(あふら)の付(つき)たるは食(めし)そく  ゐをぬりておもしをかけおくへし又 石(いし)はいをふりかけても  おつる也 紙(かみ)に付(つき)たるはかわらけの粉ふりかけへし 一 墨(すみ)の付(つき)たるは 半夏(はんけ)のせんじ汁(しる) 白朮(ひやくじゆつ)のせんじ汁(じる)  米(こめ)の酢(す)のせんじたる 右いつれにてあらひてもおつる也  又ふくみ水(みつ)にてあらひて小野小町(をのゝこまち)が哥(うた)を三べんとなゆ  れはおつる也まじなひなりその哥(うた)に  〽まかなくになにを種(たね)とてうき草(くさ)のなみのうね〳〵おひしげるらん 一しぶの付(つき)たるには とうしんをせんじあらふ 又かつほぶしを  せんじあらふ 又みそ汁(しる)にてあらふ 又あさのあくにて洗(あら)ふ 一とりもちの付(つき)たるには どぢやうのぬめりにてあらふべし 一おはぐろの付(つき)たるには 米(こめ)の酢(す)をせんじあらふべし 一 血(ち)の付(つき)たるには 生姜(しやうが)をうすくへぎうへにをけば血(ち)うつり  ておつる也 白(しろ)き物(もの)に付(つき)たるは灯心(とうしん)を唾(つばき)にてぬらしするべし 一 魚(うを)鳥(とり)の血(ち)油(あふら)の付(つき)たるには蕪(かぶら)の汁(しる)にてあらふへし

現代語訳

万物のしみ抜きの方法について 一、油が小袖に付いた場合は、水一升に塩一合を入れてよく沸かし、少し冷ましてすすぐべきである。また、縫箔の類、何でも水に入れることが困難な物であれば、その上に滑石の粉を振りかけ、紙を敷いて火のしで何度も撫でれば油が取れる。 ただし木綿は落ちない。また畳に油が付いた場合は、ご飯と唾液を塗って重しをかけて置くべきである。また石灰を振りかけても落ちる。紙に付いた場合は素焼きの器の粉を振りかけるべきである。 一、墨が付いた場合は 半夏の煎じ汁 白朮の煎じ汁 米酢を煎じたもの 右のいずれで洗っても落ちる。 また含み水で洗って小野小町の歌を三回唱えれば落ちる。まじないである。その歌は 「まがなくに何を種としてうき草の波の畝々生い茂るらん」 一、渋が付いた場合は 灯芯を煎じて洗う また鰹節を煎じて洗う また味噌汁で洗う また麻の灰汁で洗う 一、鳥もちが付いた場合は どじょうのぬめりで洗うべきである 一、お歯黒が付いた場合は 米酢を煎じて洗うべきである 一、血が付いた場合は 生姜を薄く剥ぎ、上に置けば血が移って落ちる。白い物に付いた場合は灯心を唾液で濡らしてこするべきである 一、魚や鳥の血や油が付いた場合は蕪の汁で洗うべきである

英語訳

Methods for Removing Various Stains 1. When oil stains a kosode (short-sleeved kimono): Add one gō of salt to one shō of water, boil well, let it cool slightly, then rinse. For embroidered fabrics or anything difficult to immerse in water, sprinkle talc powder on top, place paper over it, and press repeatedly with a heated iron to remove the oil. However, this does not work on cotton. For oil stains on tatami mats, apply cooked rice mixed with saliva and place a weight on top. Sprinkling lime also works. For paper, sprinkle powdered earthenware. 1. For ink stains: Decoction of Pinellia tuber, decoction of Atractylodes rhizome, or boiled rice vinegar - any of these can be used for washing and will remove the stain. Alternatively, wash with water held in the mouth while reciting Ono no Komachi's poem three times, and it will come off. This is a charm. The poem is: "Without reason, what seeds have made these floating weeds grow thick in wave upon wave?" 1. For persimmon tannin stains: Wash with decoction of lamp wick, or with decoction of dried bonito flakes, or with miso soup, or with lye from hemp ashes. 1. For bird lime stains: Wash with the slime from loaches. 1. For tooth-blackening stains: Wash with boiled rice vinegar. 1. For blood stains: Thinly slice ginger and place it on top - the blood will transfer to it and come off. For white fabrics, moisten a lamp wick with saliva and rub. 1. For blood or oil from fish or birds: Wash with turnip juice.