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勧め侍る業ならす秘して其道の妙を得其わさのかし
こき人になんゆるす事に侍り予か父大江の房利は其道を
能習学ひ代々の国君に仕へ其業の司にめいせられ其名を
あらわすのはしと成りぬ予房常も父の道を伝へ侍りけるに
古君の尊命によつてくりやの役にめされしはらくも怠る
事なふ勤めけるに其役の中司にめされん者をとわしめ給ふに
御心に叶わす重てきこへ上けるにこれさへお心に不叶房
常を上関に達しぬれはこよなふ御意に叶ひあまたの
人を越其職になし給ふあまさへあまたの褒美を下し
給りぬ当君の御代におしうつり仰をや其職の司にめい
せられ大番組にいれしめ給ふ有かたき言計なくつとめ侍
りけるに又しも間所をあけ給り其後心をつくし勤侍り
ける事をかんし思召加増を下し給りぬ誠に恩沢の厚き
事身に余りて有かたく猶しも心のまことをつくし侍りぬ
今は其役をさへゆるし給りひとゝせにひとたひ二度の勤にて
心をやすんし君恩をかんせしめ侍りぬいつとなく世に
庖丁の奥儀を知る人のまれに成り行其道の絶なん
事のかなしくおもほえけれは伝へ置ぬる事を書つら