翻刻
よりて天命(てんめい)を尽(つく)さず夭死(わかじに)する事のみなり。此(この)篇(しよ)【萹】にしるす。
以所(ゆゑん)は寔(まこと)に長生(ちやうせい)伝授(てんじゆ)の心法(しんほう)にして万代(ばんたい)不 易(ゑき)の確論(よきろん)也。
能(よく)此 術(じゆつ)を行(をこ)なはん人は。皆(みな)百 歳(さい)の寿(じゅ)を得(え)て一 生(しやう)無病(むびやう)
なるへし。或(ある)人の曰(いはく)寿(じゆ)は天命なり。那(なんそ)人力(じんりき)の術を以て。よく
延(のべ)ちゞむるの謂(いひ)あらんや。《割書:予(よ)》答(こたへ)えて曰。松(まつ)は千歳(ちとせ)の天命を得(ゑ)て
生(しやう)ずれども。これをあしき土に植(うゆ)れば一年(ひととせ)をまたずして
枯(か)るゝなり。雪(ゆき)は一時の天命を得て来るものなれ共。これを
𡿝(やまかげ)におけば久しき齢(よはい)あり。是みな其 道(みち)にそむくと道に
随(したが)ふとの違(ちがひ)なり。今 著(あらは)す所はその道に順(したか)ふて無病(むびやう)ならん
ことを録(しる)し。諸人(しよにん)長生(ちやうせい)を得んことを希(こいねが)ふのみ