翻刻
明け渡る頃拾壱人無恙打揃ふこそ不思儀なれ
され共数千里隔てし夷(エヒス)島無差と入込ム事
も心無に似たりと各思案を巡らすト云へ共既に
糺寒に忍ひす人家も有 ̄ラ ハ食を乞はむと西
風や東風らと諸倚(ヨロホイ)ひ迫る内茅葺の軒
一軒見付たり此時考みれは戊十二月始の頃なり心細
くも此家へ近寄 彳(たたず)みしに五間四方もあらん座
張りは無し石半敷詰也主と見へて年齢五十
計の坊主壱人外 ̄ニ三十ゟ四十歳計りの男六人
各けし坊主にて髪は三っ組後へ垂らし衣
類は皆筒袖の麁服なり男住居にて婦人は
見へす拾壱人の輩合掌礼物し海浜をさして