翻刻
彼家一軒ならてなし六畜を始《割書:鶏大牛| 羊 豕》其外
禽獣又夏月蚊も居らされは蚊帳も無し諸
虫の声も聞す李ゟ四節の草花も無し
冬雪も降らすト云
一拾壱人の輩を十月初旬彼の島へ漂着し亭ふ
して命をなからひ月日は送れ共日本船は更なり
唐船の帆願たにも見へされは俊寛か里憧(サトコカレ) ̄ニは
殊変り再ひ旧郷日本へ帰るへき事とは
思ひもよらす只 陽(ク)■(イ)月滑(ケハツコウ)而己ふりさけ眺
《割書:日ノ出ㇽ所月ノ出ㇽ所|》
めしかとも仲麿ならねは天の原の一句も出す
心ならすも日毎〳〵に鳥を殺して食となすの
外他事無し倩其年も早十一月下旬 ̄ニ至り