翻刻
【右丁】
是を飲む是土人のなす所なり仍て吾樺木の脳水
を土人に命し取て呑試るに能梨子の匂ひありて
甘く又東都の酒に似たると思はるゝ因て彼島の水
の味ひをやりて推量せし也
おむしやの事
一 俊明廟#1の御時に蝦夷国界の見分論用として有
司両輩東蝦夷地へ巡行す既にクナシリ嶋に至り
しにゑその習にてヲンシヤといふ事を催す此ヲンシヤ
は高貴の賓容【客?】を尊崇の饗応に興行す扨
蝦夷土人の乙名小使といふ役目あり日本の名主と
【左丁】
組頭の様なる者なり此者共の日本の有司に目見
の時にヲンシヤを興行するは定例也此時日本の土産
物を与へ酒を振舞ふを蝦夷土地の定例とす時に
松前所在島の内アツケシの小使シモチノツカモウの
乙名シユシユ及ひクナシリ島の乙名サンキチ脇乙名
ツキノエ等を呼出し此者共は何れもクナシリ島近
所百余里隔たる所の海辺場所の重立たる長蝦
夷土人なり扨此者共の装束の下着は平生の蝦
夷産のアツシといふて日本の古布に似たるもの
を着し其上に日本の小袖の引解#2の単物を着し