翻刻
【右丁】
積を松前家の定合とする事古今同し此数の物日数
凡五七日の中に採る是猟産の沢山なる所也
疾病の事
一 疾病は人間と夷狄との差別ありて日本人の眼より
見れは異なるもの数多あり先蝦夷人の日本の風俗
に化し染むまし仮にも蝦夷土人領主の令せしむる所
なれは永久に化し染むまし仮にも蝦夷土人日本の
言葉を遣へは通詞是を咎て令に背たる科の遁れ
かたきをせめて償ひとして過料を出さし自罪あた
なはせるなり又蓑笠着用すれは前章のことし
【左丁】
草鞋脚当履けは又前章の如日本風俗に化し染
さる様にとするは松前領主の掟なり仍て跣足素
脚にて岩角樹根笹原をいとはす往返し雨か降れ
は天窓より濡れ我屋に帰りても休路せす寔に獣類
のことき境界なり是皆命令のしからしむる所なり
元来より日本人と種類等しき人間なれは疾病
も又等敷筈なり故に疱瘡或は疫病流行すれは
伝ひ禍る事替はなし仍て恐怖して家宅を捨て深
山幽谷に逃け行き住居し其流行の疾病絶へて
後立帰り古郷に住居するなり親子夫婦のうちは