翻刻
【右丁】
てうせきにくらいて。ちくしやうぎやうぎを
うらやんで。大かたはしよくもつをあぢはへてしう
ていになるものどもおほしと。きゝつたへしなり
日本(につほん)出家(しゆつけ) ̄ト吉利支丹が印留慢(いるまん)宗論(しうろん) ̄ノ事
元和(げんは)ぐはんねんのころ。大坂(あふざか)において。きりし
たんのほう。はんじやうして。武士(ぶし)町人。しよ
らう人ども。もんぜんにいちをなす。あると
き。大みやうの後室(ごうしつ)。六しゆんにあまらせ給ふ
が。しきりにきりしたんのほうを。すゝむるに
よつて。なにともよんどころなくして
【左丁】
後室(こうしつ)のいはく。われはこれ。七しゆんにおよびて
ゑいぐわ。ゑいようの。のぞみなし。なにゝ。ともしき
ことなく。たゞあけても。くれても。後生(ごしやう)一すぢ
なり。せんずる所は。ほとけになりたき。のそみ
ばかりなり。今日にいたるまて。仏法のたて
わけをしらす。南無阿弥陀仏と申せは。西方浄土
におもむき。妙法蓮花経と申せは。じやつこう
浄土(じやうど)におもむくとばかりこゝろへて。よねんを
しらす。てにとるほどに。ぶつだうのあきらかなる
事あらは。なにしうにはよるべからす。しうていを