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を以て免(まぬが)るゝことを得(え)たり是(こゝ)に於(おい)て厄勒西亜(ぎりしや)皆(みな)
帝(てい)に属(そく)す此時(このとき)百爾西亜(へるしや)大(おほひ)に兵(へい)を発(おこ)して厄勒西(ぎりし)
亜を伐(うつ)国人(くにたみ)皆(みな)帝の防禦(ばうぎよ)を得(え)て干戈(かんくは)の禍(わざは)ひを免(まぬか)
れんと請(こ)ふ其中(そのなか)に独(ひと)り「シノーペ」《割書:地|名》の人「ジヲゲ
ノス」請ふ所(ところ)なし「ジヲゲノス」は此土(このとち)の碩学(せきがく)にて
郭門(くはくもん)の外(ほか)に家(いえ)して意思(いし)【左ルビ:コヽロオモヒ】間曠(かんくわう)【左ルビ:トモニアキラカ】なり帝(てい)躬(み)親(みづか)ら之(これ)を
訪(とふら)ふて其 容貌(かたち)を望(のぞ)むに貧窶(ひんる)にして衣服(いふく)垢穢(くく▢い)な
り日に向(むかつ)て背(せ)を曝(ほ)す帝 進(すゝん)で問(とふ)て曰く卿(きやう)もまた
闕乏(けつぼう)する所(ところ)ありや「ジヲゲノス」の曰く吾子(ごし)吾(わ)が
前(まへ)に立(たつ)て太 陽(やう)の我(われ)を照(てら)すを障(さ)ふ【左ルビ:サワリヲナス】是(こ)れ闕乏のみ