翻刻
【右丁】
帝(てい)其(その)言(こと)を聞(きゝ)て大(おほひ)に驚(おどろ)き厚(あつ)く尊敬(そんきやう)す
帝兵(ひやう)を発(はつ)して亜細亜(あじや)に赴(おもむ)く歩兵(ぶひやう)三万 騎(き)兵五千
初(はじめ)て「ガラニキュス【「」」記号脱】河上(かはのほとり)に戦(たゝか)ふて百爾西亜(へるしや)の兵を
敗(やぶ)る「サルディス」「エフェセ」《割書:以上|地名》等(とう)の諸(しよふ)皆(みな)門(もん)を開(ひらひ)て
降(くだ)る帝(てい)猶(なを)大(おほひ)に敵国(てきこく)を征討(せいたう)せんと欲(ほつ)すれども兵(へい)
士(し)皆(みな)故郷(こきやう)を懐(おも)ふの情(しやう)を抱(いだ)くを見(み)て其(その)兵士(へいし)の心(こゝろ)
を一にせんと欲(ほつ)し軽重(けいぢう)の船(ふね)二 隻(そう)を残(のこ)して其余
の兵 戦(せん)皆(みな)将士(しやうし)をして毀(こぼ)たしめ以て其 帰(かへ)る心を
断(た)つ乃(すなは)ち進(すゝ)んで「ハリカルナシュフ」《割書:地|名》に抵(いた)りて大
の其 府(ふ)を攻む敵(てき)兵 驍勇(きやうゆう)にして善(よ)く拒(ふせ)ぐといへ