翻刻
より積来れとも上品とせず魚類は鯛類の廻り魚は日本
に替らす□魚は日本に無之魚多し魚事甚不調法
なり日本国海士【女ヵ】の如き者有て海中に入て岩の底に
居海老を取来る
一家は古は萱葺なりしを五十年前アメリカより此国を開く
時教て今は板又は石にてふく板囲の家多し此屋根を
ふく石は湊口に大石あり板の如く片(ヘゲ)候を取て葺と言
寐る時は戸板の如くしつらいたる処に入り飯?す寐姿を
人に見する事を嫌ふ也
一時を告るには湊口に六貫目位の大炮を居て是を打申由也
一七島一王あり王死する時は棺に納め日本土蔵の如き屋
に入れ祭をなす土を以て埋めすと云忌中にかさを
着る事日本に同し家老士格にては棺を用ひ下品は
火葬なり棺は日本制に似て□棺なり足の方別て
ほそし
一伝蔵初め三人は荷物畑作田作の日用をなす重助は□病
の由にて終に病死す扨いもを作るには日本稲を植る
か如し菫をきりて植れは根を生ずこやしに不及三人
とも家作して百姓業をすると云
一右三人彼の国の役人に乞帰国いたし度由を申入則役人の始
末をもらひ鯨船に便を乞乗船す寅右衛門は存寄ありて
彼国に居留る此世界の下たを乗り通りてエゾ地にいたる
エゾ人かゝりをたき甚用心の体にて上陸すればとく逃去
て人影なし是非なく再ひ鯨船の乗りハフ国に帰る
これ彼国にいたりて六年ぶり也
一万次郎事はアメリカ国着船の後フイツヘルの世話を以て
日本寺院の如き家にいたり手習ひ学問す後には用