翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

宇佐浦より漂流留 - 翻刻

宇佐浦より漂流留 - ページ 9

ページ: 9

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 余国に是を売る或時は氷海に至る此海に入れは舟の  子□に鋸を仕掛氷を割通行す又氷の山海中にあり  この海中の鯨寒気強き故にふくて取易すし 一天/竺(ジク)の中/咬□□(ふりがな)黒坊国へも上陸す大黒坊は赤道直下の  国にて色黒く鍋墨を塗りたるが如き也蘭人の常々乗  するは真の黒坊には非すと云この国食物はカシヲノ/ミ(実)を食す  ヤシヲは日本の□櫚に似たり葉を取足手腰にまとふまた  侍にも一種の裸国あり此国挺女の類あり是もカシヲノミ  を食し人死すれは集りて食すパンアヘン煙子の類を遣て  交易す 一或時諸国を廻りハフ国へ上陸の節寅右衛門等三人に逢ひ帰  国の約をなし再あめりかへ帰る是漂着の節別れてより  六ヶ年振り也この時伝蔵五右衛門はエゾへ来る帰国してい  また湊へ船掛の節なり 一万次郎事右帰国の約をなせしより金をたくはへざれは其  義難調と工夫し南アメリカ国の金山に行金を掘る此地温泉  有て金は自然温泉に湧き堅りたるもの多し  丁度金を取帰家人抔に心の中晦乞して再ひ金山に行と  号しハフ国へ逃れ来り伝蔵等の対会し小船を造りアメリカ  国商船に便を乞乗船して琉球国四十里計沖にて小船  を下し三人取乗り琉球国へ着岸す 一右商船に別るゝ時ハフに残る寅右衛門へも無事に帰国なし  たる由又寅右衛門も何卒帰国いたすへき趣文通す 一寅右衛門も倶に帰国の筈之処如何にしても帰国は難義  との存念にてハフ国に留ると云